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飲食店とITについて考えてみる

2週間前ぐらいに書いてアップするか迷っていたのですが、今日FOODiT TOKYOに参加してアップしてみたくなったのでw

 
以下、以前書いた文面→
 
飲食店とITについて、なんか盛り上がってきているようなので考えてみました。
そのメモ書きというか、私なりにはITを比較的理解しているつもりなのですが、飲食店の現場にいて感じることを並べたようなものなので、あまり整理されていない気がしますがご勘弁を。
 
【飲食店でIT化できることってなんだろう?】
単純に考えれば、情報をデジタルで処理をするって事なんだから、飲食店における情報っていうのは何なのか考えてみました。
ザッとあげてみると、
・お客さま情報(顧客情報)
・予約情報
・オーダー情報
・利用実績
・食材や飲料の受発注データ
・買掛請求書
・従業員データ
・給与管理
・メニューやポスターのデータ(自前で作っている場合)
・写真(料理写真・店舗写真)
などなど。
まあ、PCなどのデジタルな端末を使って管理できそうな情報はこんな感じかなと思います。(店によりますし、まだあるかもしれませんがw)
 
普段、飲食店の現場で日常的にPCを使う作業といえば、
・売上日報
・棚卸し
・社内文書
・メニューやポスターを作る
・グルメサイトの編集
・予約受付(メール・Twitter・グルメサイトなど)
などが一般的なものでしょうか。こちらは店によって結構違いがでてきそうですが、営業時間外にやることがほとんど。経理的な処理を含めればまだまだ沢山あります。
つまり営業中にPCを開いているなんてことは、基本的にない状況です。
 
PCが普及する前は、これらはすべて紙で管理されていたのだと思いますが、徐々にデジタルなデータとして変化してきました。
でも、まだまだワープロ表計算の代わりや、せいぜいメールやWeb閲覧でしか使われていなかったというところに、近年、クラウド型のサービスやiPadiPhoneAndroidというようなデバイスに慣れ親しむ人が多くなってきた事で、こういったキーボードのないデバイスであれば、営業中の飲食店でも設置がし易い、端末価格が安いといった事が重なって、大きな変化が起きようとしているのがこの数年なのかな〜と感じています。
 
【情報は入力が一番大変】
情報を処理するには入力しないことには始まりません。
飲食店にとっては、この「入力」という作業が非常にハードルが高い。
・時間がない。
・キーボード入力を苦手とする人が多い。
・パソコンを開くスペースすらない。
そして何より、新しい「作業」が増える事を極端にきらう人が多い気がします。
飲食店では目の前のお客さまに全力でサービスをするのが基本。だから、それ以外の作業を極力減らそうとする傾向が強くあります。
必要最低限に削るので、その場に不必要な作業は自然に淘汰されてしまう。というか、面倒な事でやらなくてもサービスに支障がない事は省略されてしまいます。
 
メールを見るという簡単な事が、飲食店で働いてみると非常に難しく、わざわざパソコンを開くより、手放しでも紙が自動的に印刷されるFAXの方が重宝されるというのが飲食店で働いているとわかるような気もします。
メールに返信するなんて言うとさらに大変。キーボードを苦手とする人が多いし、文字を打っている間にお客様が来て、そのまま返事を忘れるなんて事もざらに起きてしまいます。
電話してくれた方が早いのに…文字入力するより手で書いたほうが早いのにというのが本音ですw
 
飲食店では、パソコンを使えば繰り返し同じことをやらなくて良いとか、綺麗にできるとか、簡単なメリットは通用しにくく、その場で手書きした方が早いとか、エクセルより電卓の方が早いとか、という事になりがちです。
記録に残す事の重要性は理解されにくく、その場を円滑に進めることの方がわかりやすいのです。
だからデジタルにすることで最も恩恵が受けられるデータを貯めるということが、「入力」の時点でコケてしまうんです。
 
直接的にお客さまに大事と思われることは重要視される。
[手間をかけて皿をきれいに洗う]>[手間をかけて入力を丁寧にする]
という図式になるのは、飲食店で働く人にとっては当たり前の事です。
 
となると、入力という作業の重要度を増し、理解してもらう事が大事になってきますし、その作業が絶対に必要でないと浸透しません。
便利になるってだけじゃ、あまり通用しないんです。
便利になる、且つ簡単で「絶対に必要」じゃないとダメ。
 
【IT屋はなんでもデータを電子化しようとする】
私もずいぶん昔にMS-Accessを使って簡単なデータベースを作っていました。だからちょっとだけ気持ちがわかるのですが、システム作成側の人は、理論的に考えて、IT化(データ化)すればあんな事もこんな事もできるようになると言いたくなる。
 
IT化を進めてきた他の業界で、そんな事はもうとっくにわかっているのもしれないけど、莫大な費用をかけてシステムを構築し、結構な時間と手間を掛けた割に、実際にはあまり役立っていなくて、目的のはっきりしないただの入力作業になってしまい、その費用対効果がわからなくなっているという事例は腐るほどあるのでは?
 
データを貯める事で便利になったり、今まで出来なかったことができるようになるっていうシステムに関して言えば、飲食店で実際に貯まったデータを活用するところまでいけるのか?
ここも大きな課題でしょう。
やろうと思えばここまでできるっていうものがあったとしても、飲食店ではそれを活用しきれない(もしくは活用する時間が取れない)可能性が高いと思います。
そう思うと飲食店向けのシステムって、特に活用の仕方や使い勝手も考えこんで作ってある事が大事なのかと思います。
今あるiPadレジのシステムなんかも、会計の処理に関わる入力画面などは使い勝手が良くなってきています。
でも、とりあえずデータさえ貯まれば色々できると思ってスタートするものの、実際にはデータ活用の部分はあまり有用になっていないと思うのです。分析部分は結構曖昧で使い勝手が悪かったりします。
 
なんとなくですが、システムを作っている人もどんな分析が飲食店の役に立つのか、迷いがあるような感じを受けますw
 
ここは店の運営をやっていると余計に感じるのですが、見たいデータってその時によって色々パターンがあるんですよね。
たとえば商品別の売上げデータでいえば、各商品ごとの前年対比を見たいとか、ビールのカテゴリーだけに絞って売上を月別に見たいとか、食事コース別の売上割合が見たいとか。
POSレジのシステムである程度用意されている分析だと、思ったような対比が見れなかったりして、じゃあデータを取り出してExcelAccessにでも取り込んで加工すれば…と思っても、その時間もなければ、スタッフにはそんなスキルもなかったり…
全部の要望をカバーできるようにすると結果、複雑になりすぎて使いにくいシステムになっちゃいそうです。
だから万人が見たいと思うような分析をある程度まとめて簡単操作で出せるってことになるんだとは思うのですが…
 
【IT化という名の元に騙される?】
飲食店のIT化は、今までほとんどできていなかっただけに、すでに他の業界にあった技術を持ち込むことが多いと思います。だから技術が先に立ってしまって、なんか無理やりIT化するって事になりかねない。
なんかIT化した方がカッコいいかもみたいな、安易なIT化も起こり得る気がします。
豚組食堂で、iPod touchiPadのポスレジを導入しましたが、一番大きな理由はコストが安かったから、二番目の理由はカッコ良いかもしれないからと思ったのはここだけの秘密ですwww
 
まあ、冗談はさておき、つい先日も、面白いシステム(?)の営業電話がありました。
 
・着座センサー(?)
着座センサーを使って座席が空いているかどうかわかるシステムっていうの電話で勧めてきました。
???と思ったのですが、最初に「お客さまが空席状況がわかるようになります。」と言われたので、とりあえず「ウチは空席状況をリアルタイムにお客さまにお見せするつもりはないのですが…」というと、今度は「経営者の方が離れたところでも店の状況がわかるようになりますよ。」と。「えーっと、ウチは予約台帳を電子化したり、ポスレジをクラウドのシステムにしているので、どこにいてもiPhoneiPadでどの席が空いているか、ほぼリアルタイムでわかるようにしてますが…」と答えると、「はぁ〜、なるほどそうなんですね。」と感心したような様子。なんだか何を売りにしたいのかハッキリしないけど、着座センサーというそれらしい名前で売り込もうとする事に多少いらついてしまい、とにかく営業に来て説明してもらう時間がもったいないと思ったので、「ウチはお役に立てないと思いますので失礼します。」と電話を切ってしまいました。
(でも、後から実際どういうシステムでどんな事ができるのかと考えだしてみると気になって気になって…w)
 
思えばこの数年の間に、いくつかIT化について考えさせられることがありました。
・iBeacon
ビーコンを使って、飲食店のサービスに役立てられないかという事を考える機会がありました。
ビーコンは近づいた距離に応じて反応を分けられるものなので、簡単に考えると来店記録を残してポイントカードの代わりにしたり、タッチすると割引とか特典が受けられるとか、普通に考えるとそんな程度しか浮かびませんでした。
ちょっと楽しく使えないかと考えてみても、店員にビーコンを仕込んで「本日の隠れスタッフを探せ」とか、豚組しゃぶ庵でチャーシューのワゴンサービスをする時にビーコンを仕込んでおき、アプリにビーコンが反応した人にサービスで1枚カットするとか、無理矢理なサービスばかりであまり実用的な事は浮ばずじまいでした。
 
・セルフオーダー端末
居酒屋さん(モン◯◯ーザ系とか)に行くと普及しているタブレットオーダー端末。
お客様は頼みたい時に頼めるし、店はオーダー取り行く手間がなくなるし、お客さまにとってもサービス向上で、店側も機会損失なくて売上あがって人件費も削減できて、Win-Winみたいな勧め方されていますが、私は個人的には好きではありません。
逆にオーダー取りに来ない分、スタッフは楽をしてだらけてしまうし、余計にサービスの本質を見失ってしまっている店が多い気がします。
 
着座センサー、iBeacon、タブレットオーダー端末、どれも技術が先にあるのは分かるけど、無理にお店をIT化する必要ないんじゃないかと。
タブレットオーダー端末は、ちょっと意味合いが違うかもしれませんが、これを効率化してしまうと究極的には飲食店はサービス業ではなくなってしまうような気がします。
 
まあ、とにかくIT化できる事とIT化した方が良い事の見極めが非常に大事になるのではないかと思います。
 
【飲食店のIT化はコミュニケーションにプラスになるものであるべき】
 
飲食店は、「人と人とのコミュニケーション」を一番大事とする業界です。
人ではなく機械と向き合う時間を多く必要とするような仕組みは、逆に店のサービスを落とすだけになりかねません。
直接お客さまとやりとりする中で、話し方一つで気持ちがハッキリと伝わってしまいます。
機械を操作しながら、機械ばっかり見て接客する人に、あまり良いサービスだと感じる人はいないでしょう。
飲食店は食べ物や飲み物だけを売っているのではなく、サービスや空間、居心地といったものをトータルで価値として見られている複雑な商売です。
 
そして、飲食店は人の気持ちがダイレクトに伝わる商売です。
私も飲食店のスタッフを経験した中で、本当に不思議な体験があります。
それは、お客さまが少なく売り上げが低迷していた時、とにかく徹底的に店をキレイに掃除すると客が来るというような、迷信めいた事が実際に起こったという事です。
来る日も来る日も柱を磨いたり、お客さまがいないのをいい事に普段は絶対に届かないようなところをよじ登って掃除したり…w
でも掃除を始めると、今日はお客さまは来ないかもしれないというような絶望的な雰囲気の中、突然お客さまが入ったり来たりしました。
これも実は、店側の店を大事にする気持ちが届いた結果なんじゃないかと思います。テレパシーか何かで…w
 
飲食店では働いている人の気持ちが通じやすい。それをIT化で無くすようなことになってはならない。飲食店のIT化は、どんな業種よりもITが主役になってはいけないと感じます。
本当の意味で、機械はあくまで計算機みたいなものであって、本業であるサービスを潰すような使い方をさせるような事は続かないでしょう。
だから、飲食店でのIT化はコミュニケーションを後押しするようなIT化でないといけない。
なにより目の前のお客さまを大事にする事が最優先なのだから。
 
【IT化による複雑化への懸念】
飲食店にとっては、わかる人が少ない分、IT化によって余計な作業が増えたり、逆に複雑になってしまうのではないかという懸念もあります。
ITがない状態よりITがある状態の方が基本的に「大変」になります。今は全ての仕事がきちんとこなせている人も、新たな作業を覚えなければいけません。結構サービス力が高い人に限って、デジタルなものは苦手だったりします。
だからこそ、ユーザーの使い勝手、UIを重視するのは必然です。
[便利になる]=[複雑な作業が必要]は通用しません。
 
パソコン1つ開いて、プログラムを1つ立ち上げて、画面をよく見ればわかるというだけでもダメになる。
狭い店内で、気軽に無意識でも操作できるぐらいの簡単さが求められるし、そうでないと普及しないでしょう。
 
【最後に】
私自身も積極的にITを取り込んでいきたいとは思っていますが、例えば、予約はトレタ、仕入インフォマート、社内の日報はExcel&メール、メニュー作成はIllustrator、レジ会計・オーダーはスマレジという風に、現状で何かをIT化していくと、やりたい事によってサービスやアプリが変わります。
IT化を進めていくと、どんどん複雑になってしまう可能性があり、本業以上に手間がかかる事だらけ、わかる人間が一部しかいないという状況になってしまいそうです。
色々なサービスが連携したり、デジタルならではの二度手間がなくなる部分も多いのですが…
 
いずれにしても、最低限に作業を絞ってしまう飲食店にとっては、この複雑なサービスの利用体系は長くは続かず、自然と淘汰されてしまうと思うのです。
そうなると、飲食店のIT化で何が一番大事なのか、もっと見えてくるのかもしれません。
なんでもIT化すれば良いわけじゃないって事を、飲食店のIT化が進む中で見極めていきたいな〜と思う、今日この頃でしたw